コロナが世界中の経済に大きな影響を与えながら1年以上が経過した2021年、必然的にオンラインの活用が進み、多くの企業がこれまでのマーケティング戦略を見直す必要に迫られています。インターネットインフラの整備を急速に進めるタイでは現在インターネットがどう活用されているのか、また、それらを踏まえた上でタイではどういったオンライン施策が効果的なのかをご紹介できればと思います。
タイのインターネット事情
まずタイと日本での大きな違いはインターネット利用者のインターネット利用時間です。タイの人口およそ7,000万人の7割がインターネットを利用しており、昨年と比べて340万人増加していますが、注目すべきはその利用時間です。タイでは一日平均8時間44分をインターネットに費やしています。これは日本の2倍にもなります。
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実際に日本本社で実施した施策をそのままタイで実施しても上手くいかなかったと
悩まれる現地日系企業ご担当者がいらっしゃいますが、タイの人々の行動をきちんを把握し理解した上で、タイ市場に合った戦略作りをすることが非常に重要になってきます。
タイのソーシャルメディア事情
2021年版タイの最新ソーシャルメディアの統計データです。タイで最も使われているSNSは利用者数5,100万人(人口の70%以上)であるFacebookで、これはタイの特徴的なソーシャルメディア事情と言えます。それに注ぐのが3,730万人のYoutube。Facebookのチャット機能メッセンジャーも3,700万人と多くのユーザーに利用されています。
タイ
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一方日本のデータは以下になります。
日本ではYoutubeが圧倒的一位という結果になっています。逆にタイで利用者断トツ一位のFacebookは、日本では利用者が極めて小さいSNSという結果になっています。
日本
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ソーシャルメディアの使い方についても日本と比較するとだいぶ違います。まずソーシャルメディアの利用時間です。タイが一日平均2時間48分に対して日本では51分というデータになっています。
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タイではLINEやFacebook等のソーシャルメディアを使って顧客や取引先などビジネスの場でのコミュニケーションを図るのが一般的です。また、情報検索において日本ではYahooやGoogleを使用して検索するのが一般的ですが、タイではGoogleの他、FacebookやInstagramといったソーシャルメディアを利用して検索をする傾向があります。これはB2Cの商品でもB2Bの製品やサービスにも当てはまります。
このような背景から多くのB2B及びB2C企業がFacebookを自社のホームページの代わりに活用してます。自社の製品やサービス紹介のみならず、B2B企業であれば自社の展示会やセミナー等の活動も積極的に配信しています。またB2C企業であればFacebookやInstagram上のキャンペーンを通してユーザーとのエンゲージメントを獲得しながら成果を挙げています。Facebookページをフォローしてくれたり投稿に対して何かしらのアクションを起こしてくれたユーザーをグループ化し、そのターゲットに対して先行情報やVIP情報を送付するなど、セグメント別の戦略作りも可能になるため、タイではFacebookが非常に効果的なプラットフォームの一つになっています。
一方、こういった現状は、Facebook利用者数が人口の18%と少ない日本市場とは大きく異なるため、日系企業タイ支社がその重要性を説明しても日本本社からの理解と承認が得られず、ソーシャルメディアを活用した施策が打てないという悩みを多く頂きます。日本と同じ戦略をコピペしたところでタイの人々には響かないため、成果があがらず残念な結果になるケースがあるのです。タイ現地市場の現状を把握することは何より大事と言えます。
タイにおける広告出稿の現状
タイのデジタル広告費は、2018年から2019年にかけて16%増加、この数年間で急激な成長を続けてきたタイですが、コロナによる社会経済への影響により、予測される成長率は以前の2桁の数字から2020年は前年比+ 0.3%と大幅に減速しました。合計はおよそ196億バーツ、日本円にして588億円(1THB = 3円 で計算)となっています。
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(出典:DAAT-Mid-Year-2020-Press-Report)
では、2020年最新データで最も広告出稿された業種5つを見てみましょう。前年度の2019年から2億バーツ減少しているものの2017年から2020年まで断トツで広告費投下をしている業種は自動車業界です。銀行が3億5000万バーツ縮小したため、これまで4位~5位だった飲料業界が3位にランクイン、乳製品および乳製品代替製品業種が39%増という過去最高の成長率を示し銀行を上回る5位という結果になりました。2020年は自粛宣言で巣篭もりを余儀なくされたため、このような結果になったと推測できます。
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また、以下の媒体別広告費について、Facebook、YouTube、そしてクリエイティブは依然として主要な分野であり、2019年以降の支出の減少は最小限に抑えられています。Google検索広告とソーシャル媒体では、2020年末の時点でそれぞれ+ 32%と+ 26%の成長率でリードしています。Google Display Network(バナー広告)、Instagram、およびアフィリエイトマーケティングの支出は、それぞれ-30%、-13%、および-13%で最も縮小した結果になりました。
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コロナの影響による広告出稿の減少が見られる中、さらなるデジタルへの重要性、必要性の社内啓蒙を行い、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速し、ニューノーマルに適応するために現在の働き方を再検討、再構築していくことが重要になって来ている考えてます。
弊社では20年以上の実績がありタイ、マレーシア、アジア各国向けに事業支援を行っております。B2C/B2B企業の課題抽出から、アクションの設計、戦略作り、実行まで徹底サポートさせて頂いています。マーケティング施策や現状の課題についてお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください!