以前の記事では、タイの基本的なインターネット利用概況についてお伝えしました。今回は、インターネットの具体的な利用用途やEC利用動向についてお届けします。
情報収集に役立つ資料
タイ電子取引開発機構 (ETDA) 発行のレポート
ETDAはタイのデジタル経済社会省傘下の政府系機関で、サイバーセキュリティ関連事業等を行っています。ETDAのWebサイトには、タイの人々のインターネット利用実態や電子取引状況、EC市場状況など、様々な独自調査レポートがアップされています。今回はその中のひとつ、THAILAND INTERNET USER PROFILE 2017から内容を抜粋しお伝えします。
調査概要
本調査は以下内容で実施されました。
期間:2017年6月中旬~下旬
回答者数:25,101人
調査対象者:タイ人(男性41.2%、女性57.2%、その他1.6%)
方法:インターネット調査
調査結果
調査結果の一部をご紹介いたします。
インターネット利用の目的
(質問:過去3か月間でインターネットで何をしましたか?*複数回答可)
上位はSNSや情報収集などで、その他買い物や学習等、生活の色々な場面で利用されていることが分かります。また最近は「メッセンジャーアプリが発達したためメールという手段はもうあまり使われていない」という意見を見かけることがありますが、タイにおいてはまだ多くの人がメールも利用していることが分かります。
インターネット利用行動の変化
(質問:インターネット利用について去年と変わったことはありますか?*複数回答可)
回答者 (%) | 回答 |
64.1 | 本当に必要な場合のみ自分の個人情報を提供する/自分の発信内容に注意を払う/発信相手を選ぶ |
63.5 | 仕事や買い物でインターネットをより活用する |
59.0 | 知らない人からのメールは開かない、知らないリンクは開かない |
34.5 | 頻繁にパスワードを変更する、パスワードのセキュリティ対策の強化 |
32.5 | アンチウィルスソフトを使う、ソフトウェアのアップデートをきちんとする |
22.9 | インターネットの利用頻度を下げる |
8.8 | Facebookから退会し他のサービスを利用する |
情報発信内容への配慮やセキュリティ対策についての回答が多くあり、タイでインターネットが浸透してから数年経ち、人々の意識が成熟してきたと言えます。また「インターネットの利用頻度を下げる」や「Facebookから退会」という回答をする人もおり、インターネット・Facebook疲れを感じている人が少なからず居ると言えます。
EC利用の頻度
(質問:1か月に何回くらいインターネットで買い物をしますか?)
回答者 (%) | 回答 |
40.7 | インターネットで買い物をしない |
38.4 | 1回/ 月 |
17.7 | 2-5回/ 月 |
3.2 | 5回以上/ 月 |
6割の人がインターネットで買い物をすると回答しています。月に2回以上買い物をする人は全体の2割ほどになります。
ECで買うもの
(質問:過去3か月以内にインターネットで購入したものは何ですか?*複数回答可)
ファッションをはじめ、様々なものが購入されています。
ECでの購入単価
(質問:各商品をオンラインで購入する際の1つあたりの商品の平均単価はいくらですか?)
旅行と金融/投資以外の商品では、半数以上が1,000THB(日本円で約3,400円)未満と回答しました。ECでは単価が低めのアイテムが購入されている傾向にあるということですが、インターネットでは実物を手に取って確認することができず、高い商品を購入することに抵抗がある人が多いためと思われます。
ECの支払い方法
(質問:過去3か月以内にインターネットで買い物をした際の支払い方法は何ですか?*複数回答可)
回答者 (%) | 回答 |
35.1 | クレジットカード |
31.9 | 銀行のモバイルアプリを利用した振り込み |
27.1 | ATMでの振り込み |
22.6 | 銀行のWebサイトを利用した振り込み |
14.9 | キャッシュオンデリバリー |
14.6 | 銀行窓口での振り込み |
12.3 | 電子ウォレット |
11.7 | デビットカード |
9.1 | 支払いカウンター |
5.9 | トップアップカード |
4.5 | 現金払い |
2.8 | プリペイドカード |
0.8 | ビットコインなど暗号通貨 |
0.7 | ギフトカード |
クレジットカード以外では現金振り込みが多数ですが、その中でも銀行のモバイルアプリやWebサイトがよく利用されています。
ECでのトラブル
(質問:過去3か月以内にインターネットで買い物をした際に経験したトラブルは何ですか?*複数回答可)
回答者 (%) | 回答 |
52.0 | 実物はサイトで見たよりもクオリティが良くなかった |
43.8 | 商品が予定のスケジュールよりも遅れて到着した |
29.5 | 実物がサイトで見たものと異なっていた |
21.3 | 商品に不具合があった |
11.9 | 支払いを済ませたのに商品が届かない |
9.1 | 商品点数が注文と異なっていた |
4.6 | 商品を返品しても返金が無かった |
「マイペンライ」なイメージが強いタイの人々でも、4割以上が商品到着の遅延について不満を持ったということは少し意外でした。
その他「サイトで見たものと違う」「商品に不具合があった」など、ECならではの問題が挙げられました。
さいごに
タイでは多くの人が生活の様々な場面でインターネットを利用していますが、タイでインターネットが浸透してから数年経ち、個人情報やセキュリティなどに対する意識が向上してきました。個人情報の適切な取り扱いやセキュリティ確保の重要性が、タイの消費者向けサービスでより増していると言えます。
またECについては、半数以上の人が利用していますが、購入単価は小さく、またECの利用上で何かしら不満を持つ人が多いのが現状です。課題は多いですが、その分改善の余地が大いにあると言えます。
弊社ではタイ市場向けのデジタルマーケティングのお手伝いをさせて頂いております。お困りごとがございましたらぜひ弊社までお気軽にご相談ください。